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狩猟鳥

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狩猟禁止のアカハシハジロ

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狩猟鳥のキンクロハジロ

今日は夕方から、狩猟鳥関係の仕事をした。当たり前のことだが、狩猟鳥というのは社会制度として定められるものであり、歴史とともに変化しているため、現行のデータベースを盲目的に信じると落とし穴にはまるらしい。次回データベースを改定する機会があったら、注釈を入れるよう要望せねばならないように思う。はまってしまったので、明日は修正に励もう。

昭和46年06月28日、従来オシドリを除きすべて狩猟鳥とされていたカモ類のうち、ツクシガモ、カンムリツクシガモ、アカツクシガモ、トモエガモ、オカヨシガモ、アメリカヒドリ、シマアジ、オオホシハジロ、アカハジロ、メジロガモ、アカハシハジロ、ケワタガモ、コケワタガモ、アラナミキンクロ、シノリガモ、ホオジロガモおよびヒメハジロが、狩猟鳥から除外され、オナガガモ、コガモ、ヨシガモ、マガモ、カルガモ、ヒドリガモ、ハシビロガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、スズガモ、ビロウドキンクロ、クロガモおよびコオリガモが狩猟鳥として残された。また、カモ類以外についてはミコアイサ、ヒシクイ、マガン、ジシギ、ワタリガラスおよびツシマテンが狩猟鳥獣から除外された。

平成19年6月1日付けでカワウが狩猟鳥になった。

といったところが大きな変化だろうか。

鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律施行令の一部を改正する政令について

狩猟鳥のページ
2012年02月07日 | Comments(0) | Diary

会報

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結局休日もデスクワーク。でも、少し時間があったので、入っているNPOの会報を読みながら、会報を作成した。気が付くと色々入っているので、会費が結構、高額になってしまっている。

Birdlife Asiaの会報ではちょうど、先日blogに書いたジクロフェナクが取り上げられていた。保護は大分うまくいっているようだが、まだ投薬はなくなっていないようだ。行徳野鳥観察舎友の会は執筆者全員が本当に知り合いなので、なんだかそれぞれの近況報告を聞いている気がして、エッセイ集として面白い。いつの間にか、子守をしていた子が表紙の絵を描いていたり、社会人の先輩が相変わらず鳥記事を書いていたり。着実に時間は流れているのだと感じるのは、人の子の成長を見たときなんだと最近よく思う。

会報の雛型を作りながら、こういった会報で行うべきことというのはなかなかに深いのだと考えた。会員への近況報告、読み物としての面白さの提供が基本なのだろうけれど、本来は何か次のアクションを示せるほうが良いと思う。こんなことやってみませんか?という提案 > こんなこと楽しこと、やりましたという報告 > こんな面白いことが分かりましたという魅力の伝播 > また行動の提起 というような循環が理想なのだろうか。 意外と会報の目指すべきビジョン・会報を用いて行うミッションというのが明確でないものが多いようにも感じる。

インターネットでも寄付できる時代であり、情報が溢れているからこそ、誌面を最大限利用して読者の行動を引き出すというのは大きな課題なのではないだろうか。

ということで、寄付

行徳野鳥観察舎 傷病鳥寄付

Bird research研究支援プロジェクト
2012年02月05日 | Comments(0) | Diary

一つ終わり


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ひとまず、今年望まねばならない審査のうちの一つ、業績報告会が終わった。聴衆に対してわかりやすい発表を心がけて壇上で話をしたが、畑違いの方には十分に理解していただけない部分があったよう。一方で、同じ畑の人からはご称賛いただいた。

我々が向き合っている生態系という厄介なものは「塩酸をかけたら金属が融ける」というような単純な事項ではなく個体差だったり環境差だったり、補正しきれないノイズにまみれたデータが想定される系なので、それを理解していただけないと話をすることすら厳しいということを感じた。ノイズやベイズの虚像の中から真理(らしきもの)を拾ってくることを何年も繰り返していると、それが普通のような気がしてしまう。けれど、異分野では見ている物事の捉え方がそもそも違っているので、空を飛んでいる鳥が海を泳いでいるように見えるようなことが起きてくるのだろう。凝り固まった視点でしか物事を捉えられない研究者という存在の柔軟性の無さと自身の折衝力不足を何かと感じる一日だった。

何はともあれ、この体調で乗り切れたことに一息です。応援ありがとうございました。
2012年02月05日 | Comments(0) | Diary

国際シンポほかに宛てて

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シンポに出て、すぐ高熱を出し、仕事に復帰してはみたものの昨日一昨日と早退。今日は欠席。もうしばらく完全復活には時間が掛かりそうだ。本当は自分の意見や感想を書きたかったのだけれど、まとめる時間もなかったので。

先日のシンポジウムで、何よりも必要なのは予算と雇用だと感じた。「野生動物問題の解決を担う人材の育成」と言っても良いが、人材を育てられていないとは思えない。野生動物問題に関心のある学生は本当に多いし、意識が高く実践に励んでいる学生もいる。ただし、それを現場に直結できるポストは少ない。特定鳥獣保護管理計画制度や鳥獣被害防止特措法にしても、財政的支援とそれに基づく専門家の雇用があって初めて成り立つものだ。兵庫のように獣害対策を行うポジションを作り、その中で科学的・客観的モニタリングに基づく保護と管理を行うことが重要だと思う。オオカミを野に放つ予算があったら、若者の専門家を一人でも多く雇える体制を作るべきだ。「立ち並ぶ数万の動物の群れにたった一人で立ち向かわなければならなかった」という言葉は教官の武勇伝でよく聞かされたが、一人を雇用すれば何かを変えられる場合だってある。

少なくとも、ゲームハンティングが文化として廃れている日本で一般狩猟者に管理を担わせる体制は今後立ち行かなくなる。だからと言って、専門家を大量雇用できるほど国勢は良好ではない。計画の策定とモニタリング、現場の指揮を行う専門家を各都道府県に少数名雇用して、実際の駆除捕獲事業は民間企業や自衛隊に担当させるという案のほうが現実的だろう。少子高齢化と人口減の世界の先駆けモデルといわれる日本だからこそ、撤退のシナリオと攻めの姿勢の両方の視点で野生動物の保護・保全・管理を回していかないといけない。科学だけではなく、多分に政治力が必要そうだ。

そんなことを考えた。有機的なネットワークを作るには、いろんな働きかけがあるべきだと思うので、漫画も小説もblogも政治活動も何でも意味はあると信じて、意味もなくblogを書いている。
2012年02月04日 | Comments(0) | Diary

ジクロフェナク

大病ではないのだけれど、一週間ほど高熱が続き、仕事を休止している。いまだにほとんど寝たきりだが、今日から家の中で生活するくらいはできるようになった。病院でジクロフェナクナトリウム(ボルタレン)を処方されて飲んでいるのだけれど、その鎮痛作用に本当に驚いている。ちょっと度が過ぎるので、少し怖いほどだ。

どうにも、聞き覚えがある薬品名だと思って少し調べたら、やはり野生生物に中毒を起こしている薬品の一つだった。家畜の医薬品としても広く利用されており、この薬品の治療を受けた動物の死骸をハゲワシが食べると腎臓疾患を引き起こし死に至る。実際、ネパールのハゲワシは、ジクロフェナクの影響により10年足らずの間に全個体数の90%が死亡したと推測されている。そのほか、パキスタンやインドでも同様の状況が起きている。そのため、2007年以降、ネパールでは、絶滅に瀕しているハゲワシを保護するために、家畜用薬品であるジクロフェナクの輸入と生産を禁止したらしい。

日常何気なく病院で処方されている薬でも、意外なところで自然界に影響を与えている。


2012年01月31日 | Comments(0) | Diary

大型野生動物の管理システムの構築 ~クマ,シカ,イノシシとの共存を目指して~

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Rapid change in the management goals for brown bear in sweden
from conservation to population


スカンジナビア半島のクマは27年間もの調査が行われてきた。基本的にはメスを対象に個体が生まれてから死ぬまで行動を追跡し、さらに小熊も捕獲して個体識別する。こうして5世代以上にも渡るクマの血縁関係が解明されている。この他に狩猟に基づく捕獲個体の情報収集や猟師からの目撃情報の収集、糞をもとにしたDNA解析によって個体識別を行うことで個体数のモニタリングを行っている。

スウェーデンでは1647-1892年にはクマの捕獲に報奨金を出す制度がとられていたが、狩猟者がクマの減少を実感するほどに個体数が減少してしまった。そのため、一転して保護政策がとられた。そして、クマが再び増加するようになると1950年代には狩猟が解禁された。ただし、安定的な個体数の管理を目標にはしていたものの、個体数の過小評価いよって、クマは6年間で倍増、その後8年間でさらに倍増してしまい、現在では強度の捕獲によって個体数の釣り合いが保たれている。ただし、人身事故がでさらに増加しており、国民感情としてはクマの増加を受け入れられなくなっている。そのため、2009年には政府がクマの保護から安定的な個体数管理へと再度施策を転換した。一度は絶滅しかけたものの、保護政策の成功によってヒグマは急激に増加した。さらに、保護政策が継続されたことでクマの個体数は人間の生活に影響するほどになっている。

このような事態に対する政策の変換は国民の意識に大きく影響され、結果として地域密着型の対応へと移行している最中である。


Status problems and perspectives management of wild dear in europe


シカの管理の体制にはヨーロッパの中でも多様な形態がある。これは各国に生息する生物の種や亜種の違いだけでなく、文化的な背景(法や歴史)を反映しており、どのような場所でも共通して最善策となる方法はないことを前提として考えたい。
そもそも野生動物が誰のものであるか、という意識が国によって異なっており、フィンランドやオランダでは国有だとされている。それに対して、オーストリア、イギリス、ノルウェイ、ベルギー、ドイツ、スペインでは基本的に無主物であると考える。このような違いは当然野生動物の施策に反映される。さらには、狩猟が推奨される国や忌避される国がある。狩猟者は少数派でも反対意見をもたれることはない国や狩猟が完全に禁止されており、管理の目的のみで補殺が許可される国もある。これらの違いが存在することは、問題解決のための管理の効率化だけでなく、社会的に納得できる制度と狩猟の正当な理由を定める必要があることを端的に示している。

欧州には狩猟に対する4つのモデル(Yves Leccocq's 4model of hunting)が存在している。
●Northern Europe
 楽しみと食糧調達が主な目的であり、狩猟は人気がある。
 人口当たりの狩猟者の割合がとても高いのが特徴(1/20)。
 ただし、欧州全体で徐々に減少傾向にある。
●Central Europe
 長い歴史と厳格なルールがに基づいて過度な狩猟の管理が行われている。
 主に有蹄類を対象としているが、比較的狩猟者は少ない(1/300)
 狩猟の目的としては、トロフィーが重要視される。
 すべての狩猟者が狩猟団体に属する。
 ドイツ、オーストリアなど
●Ango-Saxon model
 スポーツとしての紳士的な狩猟。
 捕獲をする行為自体を楽しむ。上流階級的な遊び。
 プロによる管理が行われている。
●Southern Euroean model
 フランス スペインなど。
 社交行事的な狩猟と生息地に着目した管理が行われている。
 広く狩猟が理解されており、比較的狩猟者の割合も高い(1/40)

さらに、狩猟者の体制にもさまざまな形態がある(割愛)。さまざまな狩猟の形態があるが、ヨーロッパ全体で共通して狩猟者の高齢化(平均53-56歳)と減少が起きている。その一方で、有蹄類の増加は続いている。


Status problem and management perspective of wild bord in Europe

イノシシ海を渡り、カモメの巣を襲うかと思えば山の頂上まで生息している。イノシシはヨーロッパ全土で個体数は基本的に増加傾向にある。中でも、ベルリンではイノシシの都市化が起きており、市内に8000-10000頭のイノシシがごみを漁って生活している。Balceronaのプールをイノシシが泳ぐ光景も目撃されている。イタリアでは、産業の変化にともない、都市部への人口流出が起きている。その結果、農村は人口減少率が25%にも達しており、森林が拡大し続けている。さらに、保護区が増え、国土の11%が保護区となってしまっている。このほか、有蹄類を意図的に放逐してきた歴史もある。このような背景からイノシシの増加は止まる気配がない。イノシシが好む作物をつくるようになったという、農業の変化も増加に影響しているだろう。森林の餌資源としてはカシやクリが重要だ。また、イノシシは雪の中を移動しないことや、森林の生産性の指標として適していることから、個体密度と気温とには正の相関が認められる。イノシシは氷河期に南ヨーロッパの限られたレフュージアに分布がとどめられており、その後、北へ分布を拡大してきた経緯がある。そのため、イタリアのみ独特なmt-DNAハプロタイプを多く保有している。さらに、イタリア周辺ではAsia豚の遺伝子浸透がおきている。

オオカミについてみてみると、イノシシが多いほど、オオカミはイノシシを多く利用する傾向がみられる。ただ、オオカミによる
イノシシの捕食は幼獣を中心に、イノシシ個体群の5.7%程度でしかない。実はハンターがイノシシ個体群の53.4%を捕獲している上に、成獣をとることを考えると、オオカミとハンターは異なる方法でイノシシの個体数調整に寄与しているとはいえ、
ハンターの負うべき役割は大きい。

イノシシによる被害総額は8000万ユーロを超えるほどであり、実際イタリアとフランスでは被害の8割がイノシシよるものである。保証額の支払いは増加しており、イヌ科の保証額よりはるかに多い。対策として防除柵、電気柵、爆音器の設置や駆除捕獲、人口給餌などが行われる。ただ、柵はあまり有効でない場合があり、被害と捕獲頭数に関係性はない。そもそも人口給餌は個体数の増加を招くだけ。効果的にな対処法が求められる。国ごとにイノシシ猟の期間や方法は異なっており、犬を使った巻狩り、餌付けをしておびき寄せて夜撃ちを行うなどの方法で年間170万頭が補殺されている。ただ、どの国でも狩猟者の減少が起きており、今後が危惧される。
2012年01月25日 | Comments(1) | Events

大型野生動物の管理システムの構築 ~クマ,シカ,イノシシとの共存を目指して~

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大型野生動物の管理システムの構築 ~クマ,シカ,イノシシとの共存を目指して~ の初日に参加してきた。うちの6代目代表が頑張ってtwitterで完全に実況中継していたので、いまさら何を書いても、と思いつつ一応、会場で打ったメモをblogにも挙げておくことにする(twitterは#jugainoko)。会場での公演のほかに個人的に思いついた関連事項を混ぜ込んでいるため、講演内容とは少し違います。youtubeなどでも公開するということなので、正確な内容を知りたい方はそちらの参照をお願いいたします。

昨今、獣が爆発的に増加するなかで、人と獣との軋轢をどう解決すべきかという大きな課題がある。今回のシンポジウムは我々「野生動物との闘争的共生」を担ってきたトップバッターの国内外の専門家を招き、日本と欧州の取り組みを比較するとともに、今後日本がどうしていくべきなのかを議論する。「保護」以上に「管理」という部分を強く打ち出した、農工大だからこそできるシンポジウムであると強く感じた。


日本の狩猟と野生動物管理の変遷と現状

一般的に日本人は農耕民族であると考えられているが、本当にそうだろうか。近代までアイヌは狩猟を生業としていたし、東北を中心としたマタギの文化がある。西日本ではイノシシ猟が脈々と続いている。少し歴史を振り返ってみると、江戸時代には、狩猟は特権階級だけが行う行為であり、原則禁猟だった。それでも、山間部では獣害対策のために銃を借用できる制度があり、農民が獣を撃っていた。その後、明治維新が訪れるとそれまでの禁猟の反発で乱獲や事故が相次いだ。これに伴い、鉄砲取締り規則(1872)といった法整備が一気に行われた。さらに、戦時中には軍部による毛皮の供給のための捕獲が各地で行われた。これは学校で毛皮確保のためのウサギ飼養が推奨されたことに重なる。そして戦後には、保護政策が中心となり、1950鳥獣保護区 1963鳥獣保護法が整備される。こうして野生動物の保護が中心となった現在、我々は野生動物による逆襲を受けている。現在、獣害問題に立ち向かうために、主に二つの施策がとられている。

1999特定鳥獣保護管理計画制度 
・都道府県による科学的管理計画・財政的な支援はほとんどない・低迷

2007鳥獣被害防止特措法
・市町村による防除や駆除に補助金・被害防止計画を作成するための専門知識・技術は確保されていない
・形は作っても、捕獲の担い手がいない

制度は作っても、保護管理の担い手をどう育成していくのかが大きな課題である。では、捕獲の担い手をどうするのか??
一般狩猟者の数を維持しつつ、地域に根付いた専門的捕獲技術者を育成、配置、雇用する必要があるだろう。ただし、狩猟者人口の減少と高齢化に伴い、一般狩猟者に依存する現在の制度は崩壊する可能性が高いため、専門的捕獲技術者と一般狩猟者を分けて考えるべきだろう。まずは、各都道府県や道州制ごとに教育拠点を作る必要がある。行政・研究機関・大学が連携してハンティングスクールを設置してはどうか。さらに、二つの期間に分けて対策を考える必要があるだろう

phaseI:短期的に個体数削減 緊急的に組織された民間団体で対応、技術に習熟した一般狩猟者の利用、同時に人材の育成を行う。
phaseII:中長期的な持続的管理 新たな担い手による管理。公有林の技術職員、森林組合、捕獲業者(民間)などが担い手になれないか。


クマ類の管理と現状

クマは1940年代まで狩猟資源として利用されていた。さらに、明治以降には外貨を獲得するために一部地域では過度な捕獲が行われる。このようなことから、主に西日本では地域的な絶滅や分布の縮小が起きてきた。一方で近年、クマと人の軋轢が生じており、東日本では絶滅回避と被害防除・西日本では絶滅回避を目的とした保護管理計画が策定されている。特に、2004年以降は顕著な大量出没と大量の駆除捕獲が起きておりクマの個体群の維持と被害の抑制という二つの相対する課題に取り組まねばならない。クマとの軋轢としては主に、農林業被害・人身事故・精神的被害があげられる。地域レベルでは、人身被害を最小限にするのが前提であり、大量出没時に顕在化するクマ出没への対応、被害防除対策支援といった事業展開が必要だ。広域的レベルでは、そもそもの目標のモニタリング体制の混乱が起きている。継続可能なデータ収集ができていない。クマの行動に対して、どのようなスケール設定で対応していくのかが不明確である。適切な調査法とは何なのかが分からず、推定原理と推定手法が統一されていないのが現状であり、検証可能な方法がないことからクマの個体数変動は正確にモニタリングできない。
兵庫県ではそのようなクマの対策に先進的な試みを行っている。専門家(森林動物専門員)の雇用と拠点の設置を行っており、さらに被害と補殺の両方を減らすことを基本方針としている。広域から寄せられる目撃情報を一元管理し、社会的な不安に応えるデータを提示する。さらに、対応判断の根拠を常に示している。例えば、カキの木をなくすとクマの出没は大幅に減少することを生態学的背景をもとに客観的に示し、被害の情報収集を即座に対策につなげている。



ニホンジカの管理の現状と課題

人とシカとの歴史は捕獲、保護、爆発的増加の三つの期間からなる。
1940年代には過剰捕獲が起き、禁猟政策がとられた。その結果、1990年以降にシカは爆発的に増加し現在もその勢いをとどめることがない。1994年以降に、ようやくメスジカの捕獲解禁され、1999年には特定鳥獣保護管理計画が策定されたが、シカの管理の歴史は、まだたった12年あまりであり、始まったばかりであるといえる。
過去25年でシカは70%も分布を拡大し、全国の自然公園の半分で自然植生被害が発生している。この理由はオオカミの絶滅、拡大造林と牧草地の造成、狩猟者の激減、耕作放棄地の激増、暖冬など様々な物があるが、このような問題はどれも北半球の各国に共通だろう。

人の手による個体数管理の問題点として個体数の過小評価・フィードバック管理ができていない・広域管理の仕組みが欠如していることがあげられる。このため、野生動物の管理には、管理計画策定、管理の実行、モニタリングの実施、計画評価を繰り返す順応的管理が何よりも重要であり、試行錯誤を繰り返すしかない。ただ、これまでの経験から我々が学んだことがある。それは、保護の成功が個体数の増えすぎにつながることや、不確実情報(生物の正確な個体数は絶対にわからない)に基づく管理にはモニタリングが必要であること、個体数は過小評価しがちであるために予測通りの捕獲数では増加を抑制できない事態が間々発生すること、メスジカの強度捕獲によって個体数削減は可能であることなどである。さらには、広域と地域の二つの視点による連携が必要であり、これらを担うための狩猟者の維持と捕獲従事者(専門家)の育成が早急に望まれる。



イノシシの管理の現状と課題

かつてイノシシは本州以南に広く分布していた。しかし、明治・大正期にイノシシが激減した。これは、急激な人口増加に伴う土地利用の変化(焼畑・薪炭林)、野生動物の捕獲の解禁に伴う乱獲などによると考えられる。その後、イノシシは分布を回復させてきている。これには様々な要因が影響している可能性が考えられるが、捕食者の欠如(明治時代にオオカミの絶滅・間接要因)、積雪の減少(一部地域では影響しているかもしれない)、捕獲の規制、土地利用の変化(広葉樹林伐採から4-50年経った薪炭林や耕作放棄地の増加、竹林の放棄)によるかもしれない。日本では、エネルギー革命に伴い、薪炭林の放棄され自然に植生が回復してきている。また、農業の効率化が米の自給率を高めた結果、減反政策がとられて水田放棄地が増加したほか、農作物の輸入規制緩和に伴って果樹園の放棄が起きるなど、人間が農林業のために利用していた空間を獣に明け渡してきた歴史がある。

イノシシの獣害対策として、特定管理計画が33程度の都道府県で策定されている。しかし、実際には行政資料の整理が中心であって、生態学的な情報の利用や、どう現場の管理に生かすのか、といった視点が欠如している。考えてみると、そもそもイノシシにとって好適生息地は日本全土に非常に多い。捉え方を変えれば、イノシシの生活圏に人間が割って入って農業をしているのが日本の現状だといえる。そのため、被害をなくすためにはフェンスをつくる、補殺することでバッファーゾーンを守ることで人間領域と自然領域の区域わけ(ゾーニング)を行うしかない。

イノシシの管理において忘れてはいけない視点として、一年に多回出産すること、初期死亡率が非常に高いことがあげられる。イノシシは基本的に一年中発情しているのだが、何らかのイベントによって発情が止まることがあるという生物であるため、繁殖時期の大きな年変化や繁殖回数の年変動が想定される。そのため、ある時点での個体数のみにこだわることは、誤った管理を促す可能性があり、危険だと考えられる。このため、詳細な週齢査定技術の普及が望まれる。イノシシの無発情期間を把握すれば、生存時間解析にかけることができるため、直接的に個体数の正確な変動を予測することができる。



とりあえず、そのⅠでした。
2012年01月24日 | Comments(0) | Events

Google plus 進出中

NPO等、僕の周辺でGoogle+ へ移行しようという話がどんどん出始め、僕個人もGoogle+に進出してみることにしました。

その都合で、このBlogにもgoogleのボタンを付けました。
Google+は購読者の顔が見え、かつ知らない方に購読されやすいので、情報発信のツールとして利用していくつもりです。

まだ利用者が少ない印象がありますが、いろいろ可能性を感じます。


あと、なんとなく苦手なtwitterも試験運用中。
2012年01月22日 | Comments(0) | Diary

253

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法定猟具を所有していると、毎年年末から在庫管理や捕獲の報告作業に追われてしまう。法律上所有を禁止されていたり、行為自体が禁止されていたりするのを特別に許可を取っているのだから、当然の義務なのだけれど、結構大変な作業だ。週末をほとんど潰してしまった。銃持ちの連中と違って、食べられる餌が手に入るわけでもないし、無秩序な学術捕獲とも違って厳密な報告義務を求められるけれど、そこはプロの気概を示す部分なので徹底して反復計算に努めた。

昨年度が165、今年度は253。無益な殺傷がゼロなのはよいことなのだけれど、残念ながら今年もRCはゼロだった。


2012年01月16日 | Comments(0) | Diary

1/14 「生態学者の多様なキャリアデザインNGOで活躍する生態学者たち」

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今日は、生態学会関東部会の公開シンポ「生態学者の多様なキャリアデザインNGOで活躍する生態学者たち」に参加してきた。今回のシンポジウムでは、各NGOの行っている事業内容の説明、生態学のスキルが現職にどのように生かされたか、自身のこれまでの経歴といった3つの話題について、Conservation International、Birdlife international、日本自然保護協会から各一名の講演があった。

各団体の御活躍は、割愛させていただくとして、基本的には、「文章能力、英語力、論理的思考」が博士卒就職に期待される能力であるとの印象を持った。手に職をつけると言う意味では統計・空間解析(GIS)などの技術が生かされる場合も間々あるようだが、むしろ研究を行うことで培われるであろう基本的な人間力(コミュニケーション・自主性)のほうが重要なのかもしれない。どのNGOもマンパワー不足であり、新人を育て上げる暇はないので、基本的な社会スキルのない人を採用をするのは結構厳しい、という話もあった。NGOだけでなく、環境コンサルでも、原則として新卒は採用しないという会社が増えているので、中途採用ばかりになっていく背景はそんな所にあったのか、と納得した。研究室や学会という非常に限られた場所での知見をもとに就職を考えると視野が狭まりすぎるのは本当に実感することなので、このようなシンポジウムが開かれたのはとても意義深いことだと思う。博士号を取得しても、「カッコイイ」社会人になれます!というのが、今回受けたメッセージのように思う。

ポストポスドク問題が叫ばれ続けている昨今、どのようにして自身のキャリアを積んで、稼ぎを得るのかというのは緊急の課題である。博士漂流時代、ホームレス博士とった本がベストセラーになったり、博士が100人いる村なんてものが取り上げられたりもする。分野によって状況は違うのだろうが、僕の分野では研究職につくのはオリンピックで金メダルをとることくらいの難しさだとよく例えられる。そのため、明日を考えると頭が重たくなるから考えない、といった学生も多い(これぞニート博士候補生)。

でも、結局、何をしてお金を稼ぎたいのか?

ということを真剣に考えないことが、「研究室を運営したいのではなくて、研究をしたい」、「独立した研究職を増やすのではなく、研究支援職を拡充してほしい」という、なんとなくピンボケした意見につながるのかもしれない。
2012年01月14日 | Comments(0) | Events
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