FC2ブログ

ジクロフェナク

大病ではないのだけれど、一週間ほど高熱が続き、仕事を休止している。いまだにほとんど寝たきりだが、今日から家の中で生活するくらいはできるようになった。病院でジクロフェナクナトリウム(ボルタレン)を処方されて飲んでいるのだけれど、その鎮痛作用に本当に驚いている。ちょっと度が過ぎるので、少し怖いほどだ。

どうにも、聞き覚えがある薬品名だと思って少し調べたら、やはり野生生物に中毒を起こしている薬品の一つだった。家畜の医薬品としても広く利用されており、この薬品の治療を受けた動物の死骸をハゲワシが食べると腎臓疾患を引き起こし死に至る。実際、ネパールのハゲワシは、ジクロフェナクの影響により10年足らずの間に全個体数の90%が死亡したと推測されている。そのほか、パキスタンやインドでも同様の状況が起きている。そのため、2007年以降、ネパールでは、絶滅に瀕しているハゲワシを保護するために、家畜用薬品であるジクロフェナクの輸入と生産を禁止したらしい。

日常何気なく病院で処方されている薬でも、意外なところで自然界に影響を与えている。


スポンサーサイト



2012年01月31日 | Comments(0) | Diary

大型野生動物の管理システムの構築 ~クマ,シカ,イノシシとの共存を目指して~

そのⅡP7071165.jpg


Rapid change in the management goals for brown bear in sweden
from conservation to population


スカンジナビア半島のクマは27年間もの調査が行われてきた。基本的にはメスを対象に個体が生まれてから死ぬまで行動を追跡し、さらに小熊も捕獲して個体識別する。こうして5世代以上にも渡るクマの血縁関係が解明されている。この他に狩猟に基づく捕獲個体の情報収集や猟師からの目撃情報の収集、糞をもとにしたDNA解析によって個体識別を行うことで個体数のモニタリングを行っている。

スウェーデンでは1647-1892年にはクマの捕獲に報奨金を出す制度がとられていたが、狩猟者がクマの減少を実感するほどに個体数が減少してしまった。そのため、一転して保護政策がとられた。そして、クマが再び増加するようになると1950年代には狩猟が解禁された。ただし、安定的な個体数の管理を目標にはしていたものの、個体数の過小評価いよって、クマは6年間で倍増、その後8年間でさらに倍増してしまい、現在では強度の捕獲によって個体数の釣り合いが保たれている。ただし、人身事故がでさらに増加しており、国民感情としてはクマの増加を受け入れられなくなっている。そのため、2009年には政府がクマの保護から安定的な個体数管理へと再度施策を転換した。一度は絶滅しかけたものの、保護政策の成功によってヒグマは急激に増加した。さらに、保護政策が継続されたことでクマの個体数は人間の生活に影響するほどになっている。

このような事態に対する政策の変換は国民の意識に大きく影響され、結果として地域密着型の対応へと移行している最中である。


Status problems and perspectives management of wild dear in europe


シカの管理の体制にはヨーロッパの中でも多様な形態がある。これは各国に生息する生物の種や亜種の違いだけでなく、文化的な背景(法や歴史)を反映しており、どのような場所でも共通して最善策となる方法はないことを前提として考えたい。
そもそも野生動物が誰のものであるか、という意識が国によって異なっており、フィンランドやオランダでは国有だとされている。それに対して、オーストリア、イギリス、ノルウェイ、ベルギー、ドイツ、スペインでは基本的に無主物であると考える。このような違いは当然野生動物の施策に反映される。さらには、狩猟が推奨される国や忌避される国がある。狩猟者は少数派でも反対意見をもたれることはない国や狩猟が完全に禁止されており、管理の目的のみで補殺が許可される国もある。これらの違いが存在することは、問題解決のための管理の効率化だけでなく、社会的に納得できる制度と狩猟の正当な理由を定める必要があることを端的に示している。

欧州には狩猟に対する4つのモデル(Yves Leccocq's 4model of hunting)が存在している。
●Northern Europe
 楽しみと食糧調達が主な目的であり、狩猟は人気がある。
 人口当たりの狩猟者の割合がとても高いのが特徴(1/20)。
 ただし、欧州全体で徐々に減少傾向にある。
●Central Europe
 長い歴史と厳格なルールがに基づいて過度な狩猟の管理が行われている。
 主に有蹄類を対象としているが、比較的狩猟者は少ない(1/300)
 狩猟の目的としては、トロフィーが重要視される。
 すべての狩猟者が狩猟団体に属する。
 ドイツ、オーストリアなど
●Ango-Saxon model
 スポーツとしての紳士的な狩猟。
 捕獲をする行為自体を楽しむ。上流階級的な遊び。
 プロによる管理が行われている。
●Southern Euroean model
 フランス スペインなど。
 社交行事的な狩猟と生息地に着目した管理が行われている。
 広く狩猟が理解されており、比較的狩猟者の割合も高い(1/40)

さらに、狩猟者の体制にもさまざまな形態がある(割愛)。さまざまな狩猟の形態があるが、ヨーロッパ全体で共通して狩猟者の高齢化(平均53-56歳)と減少が起きている。その一方で、有蹄類の増加は続いている。


Status problem and management perspective of wild bord in Europe

イノシシ海を渡り、カモメの巣を襲うかと思えば山の頂上まで生息している。イノシシはヨーロッパ全土で個体数は基本的に増加傾向にある。中でも、ベルリンではイノシシの都市化が起きており、市内に8000-10000頭のイノシシがごみを漁って生活している。Balceronaのプールをイノシシが泳ぐ光景も目撃されている。イタリアでは、産業の変化にともない、都市部への人口流出が起きている。その結果、農村は人口減少率が25%にも達しており、森林が拡大し続けている。さらに、保護区が増え、国土の11%が保護区となってしまっている。このほか、有蹄類を意図的に放逐してきた歴史もある。このような背景からイノシシの増加は止まる気配がない。イノシシが好む作物をつくるようになったという、農業の変化も増加に影響しているだろう。森林の餌資源としてはカシやクリが重要だ。また、イノシシは雪の中を移動しないことや、森林の生産性の指標として適していることから、個体密度と気温とには正の相関が認められる。イノシシは氷河期に南ヨーロッパの限られたレフュージアに分布がとどめられており、その後、北へ分布を拡大してきた経緯がある。そのため、イタリアのみ独特なmt-DNAハプロタイプを多く保有している。さらに、イタリア周辺ではAsia豚の遺伝子浸透がおきている。

オオカミについてみてみると、イノシシが多いほど、オオカミはイノシシを多く利用する傾向がみられる。ただ、オオカミによる
イノシシの捕食は幼獣を中心に、イノシシ個体群の5.7%程度でしかない。実はハンターがイノシシ個体群の53.4%を捕獲している上に、成獣をとることを考えると、オオカミとハンターは異なる方法でイノシシの個体数調整に寄与しているとはいえ、
ハンターの負うべき役割は大きい。

イノシシによる被害総額は8000万ユーロを超えるほどであり、実際イタリアとフランスでは被害の8割がイノシシよるものである。保証額の支払いは増加しており、イヌ科の保証額よりはるかに多い。対策として防除柵、電気柵、爆音器の設置や駆除捕獲、人口給餌などが行われる。ただ、柵はあまり有効でない場合があり、被害と捕獲頭数に関係性はない。そもそも人口給餌は個体数の増加を招くだけ。効果的にな対処法が求められる。国ごとにイノシシ猟の期間や方法は異なっており、犬を使った巻狩り、餌付けをしておびき寄せて夜撃ちを行うなどの方法で年間170万頭が補殺されている。ただ、どの国でも狩猟者の減少が起きており、今後が危惧される。
2012年01月25日 | Comments(1) | Events

大型野生動物の管理システムの構築 ~クマ,シカ,イノシシとの共存を目指して~

P3207197.jpg

大型野生動物の管理システムの構築 ~クマ,シカ,イノシシとの共存を目指して~ の初日に参加してきた。うちの6代目代表が頑張ってtwitterで完全に実況中継していたので、いまさら何を書いても、と思いつつ一応、会場で打ったメモをblogにも挙げておくことにする(twitterは#jugainoko)。会場での公演のほかに個人的に思いついた関連事項を混ぜ込んでいるため、講演内容とは少し違います。youtubeなどでも公開するということなので、正確な内容を知りたい方はそちらの参照をお願いいたします。

昨今、獣が爆発的に増加するなかで、人と獣との軋轢をどう解決すべきかという大きな課題がある。今回のシンポジウムは我々「野生動物との闘争的共生」を担ってきたトップバッターの国内外の専門家を招き、日本と欧州の取り組みを比較するとともに、今後日本がどうしていくべきなのかを議論する。「保護」以上に「管理」という部分を強く打ち出した、農工大だからこそできるシンポジウムであると強く感じた。


日本の狩猟と野生動物管理の変遷と現状

一般的に日本人は農耕民族であると考えられているが、本当にそうだろうか。近代までアイヌは狩猟を生業としていたし、東北を中心としたマタギの文化がある。西日本ではイノシシ猟が脈々と続いている。少し歴史を振り返ってみると、江戸時代には、狩猟は特権階級だけが行う行為であり、原則禁猟だった。それでも、山間部では獣害対策のために銃を借用できる制度があり、農民が獣を撃っていた。その後、明治維新が訪れるとそれまでの禁猟の反発で乱獲や事故が相次いだ。これに伴い、鉄砲取締り規則(1872)といった法整備が一気に行われた。さらに、戦時中には軍部による毛皮の供給のための捕獲が各地で行われた。これは学校で毛皮確保のためのウサギ飼養が推奨されたことに重なる。そして戦後には、保護政策が中心となり、1950鳥獣保護区 1963鳥獣保護法が整備される。こうして野生動物の保護が中心となった現在、我々は野生動物による逆襲を受けている。現在、獣害問題に立ち向かうために、主に二つの施策がとられている。

1999特定鳥獣保護管理計画制度 
・都道府県による科学的管理計画・財政的な支援はほとんどない・低迷

2007鳥獣被害防止特措法
・市町村による防除や駆除に補助金・被害防止計画を作成するための専門知識・技術は確保されていない
・形は作っても、捕獲の担い手がいない

制度は作っても、保護管理の担い手をどう育成していくのかが大きな課題である。では、捕獲の担い手をどうするのか??
一般狩猟者の数を維持しつつ、地域に根付いた専門的捕獲技術者を育成、配置、雇用する必要があるだろう。ただし、狩猟者人口の減少と高齢化に伴い、一般狩猟者に依存する現在の制度は崩壊する可能性が高いため、専門的捕獲技術者と一般狩猟者を分けて考えるべきだろう。まずは、各都道府県や道州制ごとに教育拠点を作る必要がある。行政・研究機関・大学が連携してハンティングスクールを設置してはどうか。さらに、二つの期間に分けて対策を考える必要があるだろう

phaseI:短期的に個体数削減 緊急的に組織された民間団体で対応、技術に習熟した一般狩猟者の利用、同時に人材の育成を行う。
phaseII:中長期的な持続的管理 新たな担い手による管理。公有林の技術職員、森林組合、捕獲業者(民間)などが担い手になれないか。


クマ類の管理と現状

クマは1940年代まで狩猟資源として利用されていた。さらに、明治以降には外貨を獲得するために一部地域では過度な捕獲が行われる。このようなことから、主に西日本では地域的な絶滅や分布の縮小が起きてきた。一方で近年、クマと人の軋轢が生じており、東日本では絶滅回避と被害防除・西日本では絶滅回避を目的とした保護管理計画が策定されている。特に、2004年以降は顕著な大量出没と大量の駆除捕獲が起きておりクマの個体群の維持と被害の抑制という二つの相対する課題に取り組まねばならない。クマとの軋轢としては主に、農林業被害・人身事故・精神的被害があげられる。地域レベルでは、人身被害を最小限にするのが前提であり、大量出没時に顕在化するクマ出没への対応、被害防除対策支援といった事業展開が必要だ。広域的レベルでは、そもそもの目標のモニタリング体制の混乱が起きている。継続可能なデータ収集ができていない。クマの行動に対して、どのようなスケール設定で対応していくのかが不明確である。適切な調査法とは何なのかが分からず、推定原理と推定手法が統一されていないのが現状であり、検証可能な方法がないことからクマの個体数変動は正確にモニタリングできない。
兵庫県ではそのようなクマの対策に先進的な試みを行っている。専門家(森林動物専門員)の雇用と拠点の設置を行っており、さらに被害と補殺の両方を減らすことを基本方針としている。広域から寄せられる目撃情報を一元管理し、社会的な不安に応えるデータを提示する。さらに、対応判断の根拠を常に示している。例えば、カキの木をなくすとクマの出没は大幅に減少することを生態学的背景をもとに客観的に示し、被害の情報収集を即座に対策につなげている。



ニホンジカの管理の現状と課題

人とシカとの歴史は捕獲、保護、爆発的増加の三つの期間からなる。
1940年代には過剰捕獲が起き、禁猟政策がとられた。その結果、1990年以降にシカは爆発的に増加し現在もその勢いをとどめることがない。1994年以降に、ようやくメスジカの捕獲解禁され、1999年には特定鳥獣保護管理計画が策定されたが、シカの管理の歴史は、まだたった12年あまりであり、始まったばかりであるといえる。
過去25年でシカは70%も分布を拡大し、全国の自然公園の半分で自然植生被害が発生している。この理由はオオカミの絶滅、拡大造林と牧草地の造成、狩猟者の激減、耕作放棄地の激増、暖冬など様々な物があるが、このような問題はどれも北半球の各国に共通だろう。

人の手による個体数管理の問題点として個体数の過小評価・フィードバック管理ができていない・広域管理の仕組みが欠如していることがあげられる。このため、野生動物の管理には、管理計画策定、管理の実行、モニタリングの実施、計画評価を繰り返す順応的管理が何よりも重要であり、試行錯誤を繰り返すしかない。ただ、これまでの経験から我々が学んだことがある。それは、保護の成功が個体数の増えすぎにつながることや、不確実情報(生物の正確な個体数は絶対にわからない)に基づく管理にはモニタリングが必要であること、個体数は過小評価しがちであるために予測通りの捕獲数では増加を抑制できない事態が間々発生すること、メスジカの強度捕獲によって個体数削減は可能であることなどである。さらには、広域と地域の二つの視点による連携が必要であり、これらを担うための狩猟者の維持と捕獲従事者(専門家)の育成が早急に望まれる。



イノシシの管理の現状と課題

かつてイノシシは本州以南に広く分布していた。しかし、明治・大正期にイノシシが激減した。これは、急激な人口増加に伴う土地利用の変化(焼畑・薪炭林)、野生動物の捕獲の解禁に伴う乱獲などによると考えられる。その後、イノシシは分布を回復させてきている。これには様々な要因が影響している可能性が考えられるが、捕食者の欠如(明治時代にオオカミの絶滅・間接要因)、積雪の減少(一部地域では影響しているかもしれない)、捕獲の規制、土地利用の変化(広葉樹林伐採から4-50年経った薪炭林や耕作放棄地の増加、竹林の放棄)によるかもしれない。日本では、エネルギー革命に伴い、薪炭林の放棄され自然に植生が回復してきている。また、農業の効率化が米の自給率を高めた結果、減反政策がとられて水田放棄地が増加したほか、農作物の輸入規制緩和に伴って果樹園の放棄が起きるなど、人間が農林業のために利用していた空間を獣に明け渡してきた歴史がある。

イノシシの獣害対策として、特定管理計画が33程度の都道府県で策定されている。しかし、実際には行政資料の整理が中心であって、生態学的な情報の利用や、どう現場の管理に生かすのか、といった視点が欠如している。考えてみると、そもそもイノシシにとって好適生息地は日本全土に非常に多い。捉え方を変えれば、イノシシの生活圏に人間が割って入って農業をしているのが日本の現状だといえる。そのため、被害をなくすためにはフェンスをつくる、補殺することでバッファーゾーンを守ることで人間領域と自然領域の区域わけ(ゾーニング)を行うしかない。

イノシシの管理において忘れてはいけない視点として、一年に多回出産すること、初期死亡率が非常に高いことがあげられる。イノシシは基本的に一年中発情しているのだが、何らかのイベントによって発情が止まることがあるという生物であるため、繁殖時期の大きな年変化や繁殖回数の年変動が想定される。そのため、ある時点での個体数のみにこだわることは、誤った管理を促す可能性があり、危険だと考えられる。このため、詳細な週齢査定技術の普及が望まれる。イノシシの無発情期間を把握すれば、生存時間解析にかけることができるため、直接的に個体数の正確な変動を予測することができる。



とりあえず、そのⅠでした。
2012年01月24日 | Comments(0) | Events

Google plus 進出中

NPO等、僕の周辺でGoogle+ へ移行しようという話がどんどん出始め、僕個人もGoogle+に進出してみることにしました。

その都合で、このBlogにもgoogleのボタンを付けました。
Google+は購読者の顔が見え、かつ知らない方に購読されやすいので、情報発信のツールとして利用していくつもりです。

まだ利用者が少ない印象がありますが、いろいろ可能性を感じます。


あと、なんとなく苦手なtwitterも試験運用中。
2012年01月22日 | Comments(0) | Diary

253

PB040057.jpg

法定猟具を所有していると、毎年年末から在庫管理や捕獲の報告作業に追われてしまう。法律上所有を禁止されていたり、行為自体が禁止されていたりするのを特別に許可を取っているのだから、当然の義務なのだけれど、結構大変な作業だ。週末をほとんど潰してしまった。銃持ちの連中と違って、食べられる餌が手に入るわけでもないし、無秩序な学術捕獲とも違って厳密な報告義務を求められるけれど、そこはプロの気概を示す部分なので徹底して反復計算に努めた。

昨年度が165、今年度は253。無益な殺傷がゼロなのはよいことなのだけれど、残念ながら今年もRCはゼロだった。


2012年01月16日 | Comments(0) | Diary

1/14 「生態学者の多様なキャリアデザインNGOで活躍する生態学者たち」

183509_130723583662746_100001753148392_169193_5330980_n.jpg

今日は、生態学会関東部会の公開シンポ「生態学者の多様なキャリアデザインNGOで活躍する生態学者たち」に参加してきた。今回のシンポジウムでは、各NGOの行っている事業内容の説明、生態学のスキルが現職にどのように生かされたか、自身のこれまでの経歴といった3つの話題について、Conservation International、Birdlife international、日本自然保護協会から各一名の講演があった。

各団体の御活躍は、割愛させていただくとして、基本的には、「文章能力、英語力、論理的思考」が博士卒就職に期待される能力であるとの印象を持った。手に職をつけると言う意味では統計・空間解析(GIS)などの技術が生かされる場合も間々あるようだが、むしろ研究を行うことで培われるであろう基本的な人間力(コミュニケーション・自主性)のほうが重要なのかもしれない。どのNGOもマンパワー不足であり、新人を育て上げる暇はないので、基本的な社会スキルのない人を採用をするのは結構厳しい、という話もあった。NGOだけでなく、環境コンサルでも、原則として新卒は採用しないという会社が増えているので、中途採用ばかりになっていく背景はそんな所にあったのか、と納得した。研究室や学会という非常に限られた場所での知見をもとに就職を考えると視野が狭まりすぎるのは本当に実感することなので、このようなシンポジウムが開かれたのはとても意義深いことだと思う。博士号を取得しても、「カッコイイ」社会人になれます!というのが、今回受けたメッセージのように思う。

ポストポスドク問題が叫ばれ続けている昨今、どのようにして自身のキャリアを積んで、稼ぎを得るのかというのは緊急の課題である。博士漂流時代、ホームレス博士とった本がベストセラーになったり、博士が100人いる村なんてものが取り上げられたりもする。分野によって状況は違うのだろうが、僕の分野では研究職につくのはオリンピックで金メダルをとることくらいの難しさだとよく例えられる。そのため、明日を考えると頭が重たくなるから考えない、といった学生も多い(これぞニート博士候補生)。

でも、結局、何をしてお金を稼ぎたいのか?

ということを真剣に考えないことが、「研究室を運営したいのではなくて、研究をしたい」、「独立した研究職を増やすのではなく、研究支援職を拡充してほしい」という、なんとなくピンボケした意見につながるのかもしれない。
2012年01月14日 | Comments(0) | Events

大型野生動物管理システムの構築~クマ、シカ、イノシシとの共存を目指して~

Wildlife managementのどでかいシポジウムがあるので、紹介。

文部科学省特別教育研究経費(連携融合事業)国際シンポジウム
「大型野生動物管理システムの構築~クマ、シカ、イノシシとの共存を目指して~」
日時:2012年1月24日(火)および25日(水) 東京農工大学農学部本館講堂

<プログラム>

24日
8:30 受付開始
9:00~ 9:30 開会挨拶・趣旨説明
第1部 日本の大型獣管理の現状と課題
9:30~10:00 「日本の狩猟と野生動物管理の変遷と現状」
         伊吾田 宏正(酪農学園大学講師)
10:00~10:30 「クマ類の管理の現状と課題」
         横山 真弓(兵庫県立大学准教授)
10:30~11:00 「ニホンジカの管理の現状と課題」
         梶 光一(東京農工大学教授)
11:00~11:30 「イノシシの管理の現状と課題」
         小寺 祐二(宇都宮大学農学部附属里山科学センター特任助教)
11:30~12:00 議論
第2部 ヨーロッパの大型獣管理の現状と課題
13:00~14:00 「ヨーロッパにおけるクマの管理の現状・課題・展望」
         Prof. Dr. Jon Swenson(Norwegian University of Life Science, Norway)
14:00~15:00 「ヨーロッパにおけるシカ類の管理の現状・課題・展望」
         Dr. Peter Watson(The Deer Initiative, UK Director of Northern Range)
15:00~15:20 (休憩)
15:20~16:20 「ヨーロッパにおけるイノシシの管理の現状・課題・展望」
         Prof. Dr. Marco Apollonio(University of Sassari, Italy)
16:20~17:20 質疑応答
17:20~17:30 中締め挨拶

25日
第3部 総合討論
     8:30 受付開始
9:00~11:50 総合討論
11:50~12:00 閉会挨拶

※参加費無料。どなたでもご参加いただけます。
2012年01月10日 | Comments(0) | Events

山賊ダイアリー

数週間前の友人の机の上。
IMG_0769.jpg

帯が「カラス食べたことありますか?」というとんでもない漫画が今日話題になっていた。
日本最大の自然保護団体に所属しておきながら、僕自身は猟師の保証人をやっていたりするので、読んでいてひたすらに面白かったし、漫画のような一般の方の目に留まりやすい場所にリアルな情報がでることをとても好ましく思う。

山賊ダイアリー、これから僕の周辺で流行る気がします。

山賊ダイアリー(1) (イブニングKC)山賊ダイアリー(1) (イブニングKC)
(2011/12/22)
岡本 健太郎

商品詳細を見る

2012年01月10日 | Comments(0) | Diary

1/9(月・祝)彩湖・道満探鳥会

IMG_0787.jpg

今日は彩湖・彩湖・道満探鳥会に参加してきた。

この探鳥会は本当に人気のイベントのひとつで、毎年100-200名程度が参加するらしい。今年は100名以上の参加があったため、道にズラリと列ができ、望遠鏡が所狭しと並んだ。参加者はかなりベテランという方が多いようで、スワロフスキーの双眼鏡や望遠鏡が多いことに衝撃を受けた。100人以上の参加があっても、あまり写真を撮る人が多くなかったのも少し驚いた。

新年にうまく見られなかった富士山が遠くに見え、オオタカ♂が飛ぶという縁起の良い出だしで探鳥会がスタート。風が無かったため、とても暖かく、1月ということを忘れそうな陽気のなか、彩湖の湖畔を歩いた。ハイタカが見つかり、オオジュリンやホオジロ、アオジの地鳴きはよく聞こえる。風が弱いこともあり、ちょこちょこと動き回る小鳥が見やすいところに出てきてくれることが多く、Leicaが大活躍。湖面にカンムリ・ミミ・ハジロ・ただのカイツブリが並び、ミコアイサを見ることもできた。個人的には、この冬初のジョウビタキを見ることができて少し満足した。

参加者の中には、遥か以前の道満のことをよく知られた方がいらしたので、整備される以前に広大なヨシ原が広がっていたころの話を聞きけたのは有意義だった。以前は鳥の地鳴きの合唱が聞けたそうで、参加者が途中で居座ってしまうため、探鳥会なんてものが成り立たなかったらしい。今年は冬鳥が少ないため、その頃に比べると観察種・個体数ともに減ってはいるのだろうけれど、一通りの種は記録された。


IMG_0794.jpg


IMG_0833.jpg
カワウ。彩湖は基本的にねぐらであって、繁殖をしているわけではないので頭の白い繁殖羽の個体は少ない。

IMG_1048.jpg
最近は増えているらしいヨシガモ

IMG_0951.jpg
なぜだか、グランドにいるタゲリ。幼鳥ばかり。

計50種ほどが見られたけれど、カシラダカとベニマシコは声すら聞くことができなかったのが残念でした。
その後は、芝生の上のタゲリとムナグロを見て、「健全な」お茶会をして解散。それにしても、よく歩いた一日だった。
2012年01月09日 | Comments(0) | Events

GIS

奥穂頂上より
写真は以前行った穂高と槍

気がつけば、今年も一週間が経過。今週はGISで作成したデータを階層ベイズで処理して終了。
どちらも久しぶりに行う作業だったので、思った以上に手間取った。

GISとは地理情報システム(Geographic Information System)の略で建設関係の企業や生態学で鉛筆と同じくらい一般的に使われているツールのことだ。地図の上にさまざまな情報を載せて、距離や面積、標高を計算したり、地図と地図を重ね合わせて何らかの条件にあった場所を抽出したり、といったことに用いる。

生き物の分野だと、生物の生息地の中の環境構造の解析やその生物の生息に適した環境の抽出、移動経路の解析や獣害のハザードマップ作成に用いるのが一般的だと思う。社会的には、開発計画の予定地の決定、住民の意識の地域分布、都道府県別の人口統計の図示などに利用される。最近はGPSの急激な普及とともに、自分の走った距離の算出、山の中のどこを歩いたかの図示など、日常的の娯楽活動に使われることも多い。

ソフトとしては数十万円もするArcGISのほか、登山家やランナーを中心にカシミールが使われている。また、QGISなどが高校の授業に登場し始めているそうだ。このところフリーソフトが大幅に改善されたようで、QGISとGRASSを筆頭に、世界的に情報が飛び交っている。そのため、無料で手軽に使えるし、インターネット上のマニュアルも多い。

使えると就職に有利な場合があるので、学んでおいて損はしない。鳥マニア的には珍鳥の情報と人口密度の関係とか、探鳥会の参加者数と駅からの距離、など色々調べることができるかもしれない(GISが無くてもできますが)。
2012年01月08日 | Comments(0) | Diary

三が日

HUJIMATUUU.jpg

今年の正月休みは1月1日のみにした分、超特急でデスクワークを進めた。 大晦日に飛んできた原稿の修正をまずは一本終わらせ、次の原稿のデータ整理に没頭。正月だろうと、研究室のメンバーの3分の1程度は毎日机に向かっているし、ルーティンワークが無いぶん、正月を仕事に当て込むという計画を立てている人も多い。

個人的には、松の内が過ぎると入試の出願の締め切りだったり、論文提出の締め切りだったりという現実があり、その隙をみて原稿を書き散らしているので、休んでいる場合でもない。それに加えて、年が明けると、もう富士山のことを常に念頭に置いて生活しないといけない。


富士山で生活するようになって、はや5年目の春が来る。

今年は、ようやく、冬物の衣類を忘れずに購入しておくことを覚えた。年が明けると世の中は春に向けて一気に変化していく一方で、それに逆行するように山に登るので、ともすると春もののセールの最中になんとかダウン等々を探す羽目になってしまう。この冬は寝袋も新調したし、いくらか冬装備も手に入れられそうなので、寒くて眠れないような日々を過ごさなくて済むことを期待したい。

そんなわけで、デスクワークと買い物の三が日だった。
2012年01月03日 | Comments(0) | Diary

1/1(日祝)初日の出と鳥初めを楽しむ+Young探鳥会

_1011533.jpg
日本野鳥の会東京・千葉のイベント、初日の出とスズガモを見る会に参加してきた。

初日の出をみるためには、日の出より早く集合する必要があるため、6:40から開始されるという、少々ハードな日程の探鳥会。今回は30人弱の参加があり、あまり鳥に詳しくない方からデジスコ装備で鳥を見ることに燃えている方まで色々な方の参加があった。

数年前までインターンシップとしてよく自然解説をさせていただいていた行徳の保護区内で鳥を探して歩く。行徳の保護区はかつて海だった場所が周辺を埋め立てられて切り離された内湾と開発を免れた埋立地からなる。人が手を入れて作った土地だったために地盤が緩く、昨年の東日本大震災の折に液状化がおき、地面が裂けたのがニュースで取り上げられたほど。今回の探鳥会も昨年までとは違う安全な道で震災の後を見て回った。

鳥のほうは、ウグイスやアオジの地鳴きを聞きながら、のんびりと散歩。ツグミを見たのはこの冬初めてだった。今年は北方が暖冬なのか、冬鳥がとても少ないらしい。アリスイも飛んだようだけれど、残念ながら見られずじまいだった。そのほか、行徳は関東で最も大きいカワウのコロニーの一つであり、ちょうど12月からカワウの繁殖期のため、繁殖羽の白い頭をしたカワウ達が空を飛び交っていた。

初日の出は雲に覆われてちょっと今一つだったけれど、一応、拝むことができた。
鳥よりも初日の出がお目当てという方もおられるようだったので、少しでも見られて一安心。
富士山は見えず、タカはノスリだけ、ということで一富士二鷹とはならなかったけれど、おいしいナスをいただいた。

_1011539.jpg
「鳥合わせ」の様子

その観察会でどんな鳥が見られたかをみんなで確認しあう「鳥合わせ」。
朝から寒い中歩いた後は、甘酒と豚汁を飲んで解散。


二次会は幹事宅で10時前から19時ごろまでひたすら飲んで食べた。
思えば一年ぶりに会うような方もいらしたり、探鳥会初参加の方も二次会まで参加していただいたり、初対面もなにも関係なく騒ぎまくっていた。

_1011546.jpg

飲み会というのは案外に学ぶことも得ることも多く、ちょっと考えさせられることがあった。

その回答として、今年は頑張ってblog(できれば色々な会報にも文章)を書くことに決めた。
若手の育成、一般に伝えるべき知見の発信、人と人とをつなぐパイプとしての自分の機能を今一度捉え直して、もう一回、表舞台に復帰しようと思う。とはいえ、なかなか腰を落ち着けた暮らしができないので、言葉にして伝えられない分は、ひとまず文字を書くことで何かを伝えていくよう努力するつもりだ。
2012年01月03日 | Comments(2) | Events

新年

P8025470.jpg
富士山頂からの御来光

あけましておめでとうございます。

今年は、日夜研鑽を積む年にしたいと思う。

どこまで歩いていけるのか、それが楽しみ。
2012年01月01日 | Comments(0) | Diary
 | HOME |